契約書がない場合に請求できるか

金額が大きな取引であれば、契約書を作成してトラブルに備えるのが通常です。契約書がない場合、想定外のことが起きるたびに交渉が必要となり、円滑な関係を構築するのも難しくなり得ます。

ただ、現実には、仕事を受注するために、やむを得ず契約書なしで作業をすることもあります。その場合に、事業者としては相手方に何らかの金銭を請求できるのでしょうか?

この点、商法512条は、「商人がその営業の範囲内において他人のために行為をしたときは、相当な報酬を請求することができる。」と定めています。株式会社や個人事業主は商人となりますので、原則として相当な請求できることとなります。裁判所が「相当な報酬」を定めるのは困難な面もあることから、専門委員の関与のもと裁判が進むことが多いです。

その他、以前からの契約関係が積み重なっていれば、相当金額を対価とする黙示の契約が成立していたと主張できる余地もあります。

契約書がないから、金額の合意がないからとあきらめる必要はありません。

尚、見積もりの提出や、予め条件が定められたコンペへの応募であれば、その作業費の請求は一般的には難しい場合が多いです。

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