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コラム

印紙税の節税方法 印紙を貼らない契約は有効?

一定の種類の契約書では、契約書に印紙を貼ることが義務付けられている。

どのような契約書に貼るべきなのか、また印紙を貼らない契約書の有効性について説明する。

1.印紙税について

契約書には印紙を貼ることが必要な場合がある。契約書作成において主に注意すべきなのは、1号文書、2号文書、7号文書だ。

1号文書には、不動産等の譲渡に関する契約書、地上権等の設定又は譲渡に関する契約書、消費貸借に関する契約書、運送に関する契約書の4類型がある。契約金額に応じて課税される。不動産売買契約書は令和9年3月末まで軽減税率が適用される。

2号文書は、請負契約だ。契約金額に応じて課税される。建設工事請負契約書は令和9年3月末まで軽減税率が適用される。

7号文書は、継続的取引の基本となる契約書だ。4,000円の印紙が必要となる。一般企業でよく該当する契約書の類型(印紙税法施行令26条1号・2号)について、下記に抜粋する(これ以外にも類型がある)。契約期間が3ヶ月以内であり、かつ更新の定めのないものは対象外だ。

売買は原則非課税だが、1号文書や7号文書に当たれば課税されることになる。

<1号文書>

契約金額 本則 不動産売買
10万円を超え 50万円以下のもの 400円 200円
50万円を超え 100万円以下のもの 1千円 500円
100万円を超え 500万円以下のもの 2千円 1千円
500万円を超え1千万円以下のもの 1万円 5千円
1千万円を超え5千万円以下のもの 2万円 1万円
5千万円を超え 1億円以下のもの 6万円 3万円
1億円を超え 5億円以下のもの 10万円 6万円
5億円を超え 10億円以下のもの 20万円 16万円
10億円を超え 50億円以下のもの 40万円 32万円
50億円を超えるもの 60万円 48万円

<2号文書>

契約金額 本則 不動産売買
100万円を超え 200万円以下のもの 400円 200円
200万円を超え 300万円以下のもの 1千円 500円
300万円を超え 500万円以下のもの 2千円 1千円
500万円を超え1千万円以下のもの 1万円 5千円
1千万円を超え5千万円以下のもの 2万円 1万円
5千万円を超え 1億円以下のもの 6万円 3万円
1億円を超え 5億円以下のもの 10万円 6万円
5億円を超え 10億円以下のもの 20万円 16万円
10億円を超え 50億円以下のもの 40万円 32万円
50億円を超えるもの 60万円 48万円

<7号文書>

印紙税法施行令26条1号及び2号

1 特約店契約書その他名称のいかんを問わず、営業者(法別表第一第十七号の非課税物件の欄に規定する営業を行う者をいう。)の間において、売買、売買の委託、運送、運送取扱い又は請負に関する二以上の取引を継続して行うため作成される契約書で、当該二以上の取引に共通して適用される取引条件のうち目的物の種類、取扱数量、単価、対価の支払方法、債務不履行の場合の損害賠償の方法又は再販売価格を定めるもの(電気又はガスの供給に関するものを除く。)

2 代理店契約書、業務委託契約書その他名称のいかんを問わず、売買に関する業務、金融機関の業務、保険募集の業務又は株式の発行若しくは名義書換えの事務を継続して委託するため作成される契約書で、委託される業務又は事務の範囲又は対価の支払方法を定めるもの

2.ポイント

印紙税の節税方法、不必要に印紙税が発生しないための対応として、次の通りのものがある。
・契約書を電子契約とする。
・契約書の作成部数を減らす。
・印紙税が課税される2つの契約書を1つに閉じこむ。
・消費税額を明記すると、税抜きの金額として扱われる(単に「税込」では不可)。
・増額、減額の契約書には、元の契約書を引用したうえで元の金額と増減額後の金額双方を明記する。
・お互いが押印した文書は契約書でなくても不用意に作成しない。
・売買と請負契約の混合契約の場合には、請負契約が簡単な内容で特別の技術を要しないものでない限り、売買部分の金額と請負部分の金額を区別して記載する。

印紙税は微妙な判断を要することもあり、予め専門家の見解を得ることも重要だ。特に書式として大量に作成する文書は、7号文書に該当しないか入念なチェックをした方がよい。

3.印紙を貼らない契約書の有効性

印紙を貼らない契約書であったとしても、当事者の合意は立証できるため、契約の成立が妨げられることはない。但し、印紙を貼らないことにより、懈怠税が発生するリスクがある。

4.まとめ

契約書を作成する際には、印紙税の節税まで見越して作成すべきだ。印紙を貼らない契約書は有効だが、懈怠税が発生するリスクがある。

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