契約書を結ぶ際に、不利な条件でも契約書を結んでしまうこともある。
では、どのような条項が不利な条項といえるのだろうか。
1.有利不利とは
例えば保証期間が長い(10年とする等)ことは売り手に不利な契約だが、対価が相場よりも十分高ければ売り手に不利とは言えない。このような考え方を突き詰めると、その条件で納得して契約したのであれば、不利な契約条項は存在しないということにもなりそうだ。
しかし、保証期間は契約条件に響く重要な要素だが、あまり重視されないような契約の要素に関しては、対価に響くことはまりない。そのような重視されない契約の要素について、一般的な条件とは異なった内容となっている場合には、有利不利が出てくると考えらえる。
2.不利な契約条項の例
以下は、不利な契約条項の例だ。一方で、相手にとってみれば、有利な契約条項の例となる。
(1)違約金条項+損害賠償条項
民法上、違約金は損害賠償の予約と推定され、それ以上の金額を支払う必要はない。違約金を定める際に、それに加えて違約金を超える損害が生じた場合には別途損害賠償金を支払う条項は、不利な契約条項といえる。
(2)損害賠償の制限条項
商品を購入する際や、業務を委託する際に、契約不履行による損害賠償の責任を制限する条項だ。当然請求できる損害賠償を制限されるので不利といえる。
(3)免責条項
一定の事由により生じた債務不履行を免責するという条項のことだ。本来は、相手に債務不履行があれば、契約違反の責任を問えるのが原則だが、その範囲が限定されてしまっている。
(4)誓約書の取得条項
会社だけでなく会社の従業員個人にも契約書を守らせるための誓約書を取得する条項のことだ。個人情報保護のための契約書で使われるが、通常は会社が責任を負えば十分なため、不利な条項といえる。
(5)「甲が判断した時は」等相手の主観的要素が重視されている条項
契約の解除条項や、中途解約条項等で、相手の一方的意志により権利を行使できる条項のことだ。通常客観的に決まる内容が、相手の任意の判断となると、条件として緩くなり、不利な条項となる。
(6)担保設定条項
担保を設定したり、今すぐ設定しなくても、債務不履行が生じるおそれが生じた場合には担保を設定する義務を負う条項のことだ。信用力がなければやむを得ない面もある。
(7)競業を禁止する条項
取引相手と競合する事業を行わないとする条項のことだ。場合によっては独占禁止法に違反し無効となることもあるが、事業活動が制限されるため、不利な条項となる。
(8)販売者の住所で引き渡す条項
不特定物(代替可能なもの)については購入者の住所で引き渡すのが原則であるため、販売者の住所で引き渡す条項は、購入者にとって不利な条項といえる。
3.まとめ
契約条件が不利であっても、対価が割増されており適正であれば問題ない。しかし、通常の対価だが契約条件が不利な場合、リスクを負うだけであるため、契約の是非も含めて関係を見直した方がよい。